「預かり」という言葉の送り仮名について、「預り金」と「預かり金」のどちらが正しいのか迷ったことはありませんか?実は、どちらも正しい表記なのですが、使用する場面によって適切な表記が決まっています。
この記事では、文化庁の公式ルールに基づいて、送り仮名の正しい使い分け方法を分かりやすく解説します。
【結論】「預かり金」と「預り金」どちらが正しい?
答え:どちらも正しいが、使用場面で使い分ける
- 一般的な文書・教育・報道:「預かり金」を使用
- 公用文書・法令:「預り金」を使用
この使い分けは、文化庁が定めた「送り仮名の付け方」という公式ルールに基づいています。混乱を避けるため、まずは一般的な場面では「預かり金」を使用すると覚えておけば安心です。
「預かり」送り仮名の基本ルールと文化庁の公式見解
送り仮名の基本原則
「預かる」は五段活用の動詞で、以下のような構造になっています:
- 語幹:「預か」(変化しない部分)
- 活用語尾:「る」(活用によって変化する部分)
送り仮名の基本ルールでは、活用語尾をひらがなで表記するため、「預かる」となります。
文化庁「送り仮名の付け方」通則2の規定
文化庁の公式ルール「送り仮名の付け方 通則2」では、次のように定められています:
【本則】 活用語尾以外の部分に他の語を含む語は、含まれている語の送り仮名の付け方によって送る。
「預かる」は「預ける」という他動詞との対応があるため、この通則が適用され、「預かる」→「預かり」が原則となります。
【許容】 読み間違えるおそれのない場合は、送り仮名を省くことができる。
この許容規定により、「預り」という表記も認められています。
なぜ2つの表記が存在するのか
「預かる」(自動詞)と「預ける」(他動詞)という2つの動詞が存在することが、表記の違いを生んでいます。文化庁のルールでは、読みやすさを重視して「預かり」を基本とし、簡潔性を重視する公用文では「預り」を採用しているのです。
使い分けの実践ガイド:場面別の正しい表記方法
「預かり金」を使用する場面
以下の場面では「預かり金」を使用します:
教育関連
- 教科書・参考書
- 学習プリント
- 教育ウェブサイト
報道関連
- 新聞記事
- テレビのテロップ
- ニュースサイト
一般ビジネス
- 社内文書
- 契約書
- 領収書
- 企業のウェブサイト
例文:
- 「お預かり金の領収書を発行いたします」
- 「預かり金として5万円をお預けください」
- 「預かり金の管理規則について」
「預り金」を使用する場面
以下の場面では「預り金」を使用します:
公用文書
- 法令・政令
- 官公庁の文書
- 行政手続きの書類
法律関連
- 法律条文
- 判決文
- 公式通達
例文:
- 「預り金に関する規定第3条」
- 「預り金台帳の記入について」
- 「預り金の返還手続き」
使い分け一覧表
使用場面 | 表記 | 理由 |
---|---|---|
教育現場 | 預かり金 | 学習効果を高めるため明確な表記 |
報道機関 | 預かり金 | 読者の理解を促進 |
一般企業 | 預かり金 | 標準的な表記として普及 |
公用文書 | 預り金 | 公用文の簡潔性を重視 |
法令・規則 | 預り金 | 公式文書の統一表記 |
よくある疑問Q&A
Q1: パソコンの変換ではどちらが出てきますか?
A: 多くのIME(入力システム)では「預かり金」が最初に候補として表示されます。これは一般的な使用頻度が高いためです。公用文を作成する際は、意識的に「預り金」を選択する必要があります。
Q2: どちらを使えば絶対に間違いないですか?
A: 迷った場合は「預かり金」を使用することをおすすめします。一般的な場面では「預かり金」が標準とされており、公用文以外では問題ありません。
Q3: 会社の経理書類ではどちらを使うべきですか?
A: 一般企業の経理書類では「預かり金」を使用します。ただし、官公庁への提出書類や公的な手続きでは「預り金」を使用する場合があるため、提出先に確認することをおすすめします。
Q4: 「預け金」との違いは何ですか?
A: 「預け金」は「預ける」(お金を預ける側)の立場での表記、「預かり金」は「預かる」(お金を預かる側)の立場での表記です。意味が異なるため、文脈に応じて正確に使い分ける必要があります。
Q5: 他の似たような言葉はありますか?
A: 同様の使い分けが必要な表記として以下があります:
- 「借り金」「借金」
- 「貸し金」「貸金」
- 「立て替え金」「立替金」
- 「受け取り」「受取」
実際の使用例・文例集
一般文書での使用例
領収書・レシート
- 「預かり金 50,000円 領収いたしました」
- 「工事代金の内金として預かり金10万円を頂戴しました」
ビジネスメール
- 「契約の際にお預かりした預かり金につきまして」
- 「預かり金の精算についてご案内いたします」
説明書・マニュアル
- 「預かり金の管理方法について説明します」
- 「預かり金は専用口座で管理してください」
公用文での使用例
法令・規則
- 「預り金の管理に関する規則第5条」
- 「預り金台帳への記載義務について」
行政文書
- 「預り金に係る手続きの簡素化について」
- 「預り金の返還請求書の様式」
公式通達
- 「預り金の適正な管理の徹底について(通達)」
- 「預り金関連事務の取扱いについて」
まとめ:迷わない送り仮名の選び方
「預かり」の送り仮名は、使用する文書の性質によって適切に使い分けることが重要です。
基本的な選び方
- 一般的な場面では「預かり金」を使用
- 公用文・法令では「預り金」を使用
- 迷った場合は「預かり金」を選択
覚えておくべきポイント
- どちらの表記も文化庁の公式ルールに基づく正しい表記
- 文脈に応じた使い分けが重要
- 一貫性を保つことで読みやすい文章になる
実践のコツ
- 文書作成前に、どちらの表記を使用するか決める
- 同一文書内では表記を統一する
- 不安な場合は文化庁の「送り仮名の付け方」を参照
送り仮名のルールを正しく理解し、適切な表記を選択することで、より正確で読みやすい日本語文章を作成できます。「預かり」の送り仮名について迷った際は、この記事を参考にして、自信を持って正しい表記を選んでください。