「下記の通り」と「下記のとおり」、どちらを使うべきか迷ったことはありませんか?ビジネス文書や公文書を作成する際、この使い分けで悩む方は非常に多いです。
この記事では、「下記の通り」と「下記のとおり」の正しい使い分け方法から、ビジネスメールでの実践例、よくある間違い例まで、実用的な内容を分かりやすく解説します。記事を読み終える頃には、迷うことなく適切な表記を選べるようになるでしょう。
この記事で分かること
- 「下記の通り」「下記のとおり」の基本的な使い分けルール
- ビジネス文書・公文書での正しい表記方法
- 実践的な例文とメール文例
- よくある間違い例と対策
- 判別のためのチェックポイント
「下記の通り」で迷いやすい具体例
多くの人が「下記の通り」と「下記のとおり」の使い分けで悩む場面があります。ここでは、実際によくある間違い例を通して、正しい使い方を理解していきましょう。
ビジネス文書でよくある間違い例
ビジネスシーンでは、以下のような間違いがよく見られます:
❌ 間違い例:
- 「下記の通りご連絡いたします」
- 「下記の通り報告申し上げます」
- 「下記の通り実施いたします」
✅ 正しい表記:
- 「下記のとおりご連絡いたします」
- 「下記のとおり報告申し上げます」
- 「下記のとおり実施いたします」
これらの例では、「下記の内容に従って」という意味で使用されているため、ひらがなの「とおり」が正しい表記となります。
公文書作成時の注意点
公文書では特に「下記のとおり」の使い分けが重要です。内閣府の「公用文作成の要領」では、「とおり」はひらがなで表記することが推奨されています。
公文書での正しい使用例:
- 「下記のとおりお知らせいたします」
- 「下記のとおり決定いたしました」
- 「下記のとおり処理してください」
「下記のとおり」(ひらがな)の正しい使い方
ひらがなの「下記のとおり」は、下記の内容に従って行動する場合や、下記に記載された内容を説明する際に使用します。
基本的な使用パターン
「下記のとおり」は、既に記載されている内容を指し示す際に使用します。
報告・連絡に関する表現:
- 「下記のとおり報告いたします」
- 「下記のとおりお知らせします」
- 「下記のとおりご連絡申し上げます」
決定・実施に関する表現:
- 「下記のとおり決定いたします」
- 「下記のとおり実施します」
- 「下記のとおり進めさせていただきます」
依頼・お願いに関する表現:
- 「下記のとおりお願いいたします」
- 「下記のとおりご協力ください」
- 「下記のとおり対応をお願いします」
公用文での「下記のとおり」表記ルール
公用文では、読みやすさと統一性を重視して「下記のとおり」をひらがなで表記します。これは昭和27年の「公用文作成の要領」で定められたルールです。
公用文での標準的な使用例:
- 「下記のとおりご案内いたします」
- 「下記のとおり提出いたします」
- 「下記のとおり処理いたします」
このルールは、多くの企業でも採用されており、ビジネス文書の標準的な表記として定着しています。
「下記の通り」(漢字)の正しい使い方
漢字の「通り」は、物理的な道路や場所、助数詞、物の流れを表す際に使用されます。「下記の通り」という表現では、基本的に漢字を使用する場面は限定的です。
特殊な使用例
「下記の通り」で漢字を使用する場合は、以下のような特殊なケースに限られます:
道路や場所を指す場合:
- 「下記の通り(道路名)にお越しください」
- 「下記の通り(街路)で開催します」
助数詞として使用する場合:
- 「下記の通り(方法)で対応可能です」
- 「解決策は下記の通り(種類)あります」
ただし、これらの場合でも文脈によっては「下記のとおり」の方が適切な場合が多いため、注意が必要です。
公文書・ビジネス文書での「下記のとおり」表記基準
公文書やビジネス文書では、統一された表記ルールに従うことが重要です。ここでは「下記のとおり」に関する具体的な基準を説明します。
内閣府ガイドラインの詳細
内閣府が定める「公用文作成の要領」では、以下の原則が示されています:
基本原則:
- 読みやすさを優先する
- 漢字の使用を必要最小限に抑える
- 同音異義語による混乱を避ける
- 統一性を保つ
「下記のとおり」に関する具体的な規定:
- 「下記のとおり」「以下のとおり」はひらがなで表記
- 道路名や地名は漢字の「通り」を使用
- 助数詞の場合は文脈に応じて判断
企業文書での表記統一方法
多くの企業では、公用文の基準に準拠した「下記のとおり」の表記ルールを採用しています。
企業での統一方法:
- 文書作成ガイドラインの策定
- 「下記のとおり」の使用基準を明文化
- 具体例を示したマニュアルの作成
- 定期的な研修の実施
ビジネスメールでの「下記の通り」正しい使い方
ビジネスメールでは「下記のとおり」の表記が基本となります。ここでは実際のメール文例を通して、正しい使い方を解説します。
報告メールでの使用例
件名: 月次売上実績のご報告
本文: いつもお世話になっております。 ○○部の△△です。
月次売上実績について、下記のとおりご報告いたします。
・売上高:○○万円(前年同月比110%) ・新規顧客数:○○件 ・主要取引先:○○社、△△社
詳細につきましては、添付資料をご確認ください。 何かご不明な点がございましたら、お気軽にお声かけください。
案内メールでの使用例
件名: 来月の定例会議について
本文: 関係者の皆様
お疲れ様です。 来月の定例会議について、下記のとおりご案内いたします。
■会議概要 ・日時:○月○日(○)14:00-16:00 ・場所:会議室A ・議題:月次業績レビュー、来月の施策検討
ご多忙中恐れ入りますが、ご参加のほどよろしくお願いいたします。
依頼メールでの使用例
件名: 資料作成のお願い
本文: ○○様
いつもお世話になっております。
プレゼンテーション資料の作成について、下記のとおりお願いいたします。
■作成依頼内容 ・資料名:第3四半期業績レポート ・ページ数:10-15ページ程度 ・納期:○月○日(○)17:00まで ・使用目的:役員会での報告資料
ご協力のほど、よろしくお願いいたします。
「下記の通り」を使った例文集
「下記のとおり」を使った様々な場面での例文を紹介します。実際の文書作成時の参考にしてください。
公式文書での例文
会議議事録:
- 「下記のとおり議事録を作成いたします」
- 「決定事項は下記のとおりです」
- 「次回会議は下記のとおり予定しております」
申請書類:
- 「下記のとおり申請いたします」
- 「記載内容は下記のとおりです」
- 「添付書類は下記のとおりです」
ビジネス文書での例文
提案書:
- 「提案内容は下記のとおりです」
- 「実施スケジュールは下記のとおりです」
- 「期待される効果は下記のとおりです」
報告書:
- 「調査結果は下記のとおりです」
- 「課題と対策は下記のとおりです」
- 「今後の予定は下記のとおりです」
契約書・仕様書での例文
契約書:
- 「契約条件は下記のとおりです」
- 「支払条件は下記のとおりです」
- 「契約期間は下記のとおりです」
仕様書:
- 「技術仕様は下記のとおりです」
- 「動作環境は下記のとおりです」
- 「納期は下記のとおりです」
「下記の通り」使い分け一覧表とチェックポイント
迷った時にすぐに判断できるチェックポイントと使い分け表をまとめました。
使い分け早見表
使用場面 | 表記 | 例文 | 判別のポイント |
---|---|---|---|
報告・連絡 | 下記のとおり | 下記のとおり報告します | 「下記の内容に従って」の意味 |
案内・通知 | 下記のとおり | 下記のとおりご案内します | 「下記の内容のように」の意味 |
決定・実施 | 下記のとおり | 下記のとおり実施します | 「下記の内容に基づいて」の意味 |
公文書全般 | 下記のとおり | 下記のとおり処理します | 公用文では基本的にひらがな |
道路・地名 | 下記の通り | 下記の通り(道路名)で | 具体的な場所を指している |
簡単チェックポイント
迷った時の3つの質問:
- 「下記の内容に従って」に置き換えできるか?
- できる → 「下記のとおり」(ひらがな)
- できない → 「下記の通り」(漢字)
- 公的な文書やビジネス文書か?
- 該当する → 「下記のとおり」(ひらがな)
- 該当しない → 文脈に応じて判断
- 具体的な場所や道路を指しているか?
- 指している → 「下記の通り」(漢字)
- 指していない → 「下記のとおり」(ひらがな)
実践練習問題
以下の文章で正しい表記を選んでみましょう:
- 会議の結果を(下記のとおり・下記の通り)報告します。
- 住所は(下記のとおり・下記の通り)です:○○通り1-2-3
- 対応方法は(下記のとおり・下記の通り)です。
- 新商品の発売日は(下記のとおり・下記の通り)決定いたします。
答え:
- 下記のとおり(報告内容に従って)
- 下記の通り(具体的な道路名を含む住所)
- 下記のとおり(対応方法の説明に従って)
- 下記のとおり(決定内容に従って)
よくある質問(FAQ)
「下記の通り」と「下記のとおり」に関してよく寄せられる質問にお答えします。
Q1: ビジネスメールではどちらを使うべきですか?
A: ビジネスメールでは基本的に「下記のとおり」(ひらがな)を使用してください。これは多くの企業で採用されている標準的な表記であり、読みやすさと統一性を重視した表記です。
Q2: 「以下の通り」と「下記のとおり」の使い分けはありますか?
A: 「以下の通り」も「下記のとおり」と同様に、ひらがなで「以下のとおり」と表記するのが一般的です。どちらも同じ意味で使用できますが、「下記のとおり」の方がより正式な印象を与えます。
Q3: 契約書では漢字とひらがなどちらを使うべきですか?
A: 契約書では「下記のとおり」(ひらがな)を使用することが推奨されます。法的文書では読みやすさと誤解を避けることが重要であり、ひらがな表記がより適切です。
Q4: 「記載のとおり」と「下記のとおり」の違いは何ですか?
A: 「記載のとおり」は既に記載された内容全般を指し、「下記のとおり」は文書の下部に記載される内容を特定的に指します。どちらもひらがなで表記します。
Q5: 英語の文書を翻訳する際はどちらを使うべきですか?
A: 英語の「as follows」「as below」を翻訳する際は、「下記のとおり」(ひらがな)を使用してください。これが日本語の標準的な表記です。
まとめ:「下記の通り」と「下記のとおり」どっちが正しい?
「下記の通り」と「下記のとおり」の使い分けは、以下のポイントを覚えることで正しく判断できます:
基本ルール
「下記のとおり」(ひらがな)を使う場合:
- ビジネス文書・公文書での使用
- 報告や連絡の際の表現
- 「下記の内容に従って」の意味で使用
- 読みやすさを重視する場合
「下記の通り」(漢字)を使う場合:
- 道路名や地名を指す場合
- 助数詞として使用する場合
- 特殊な文脈での使用
実践のコツ
- 迷った時は「下記のとおり」を選択
- 9割以上の場面でひらがな表記が適切
- 文脈を重視
- 「従って」「基づいて」の意味なら「とおり」
- 具体的な場所を指すなら「通り」
- 統一性を保つ
- 同じ文書内では表記を統一
- 組織のガイドラインに従う
「下記のとおり」の正しい使い分けを身につけることで、より信頼性の高い文書作成ができるようになります。特に公文書やビジネス文書では、これらのルールを守ることが重要です。
日常的に使用する表現だからこそ、正しい知識を持って適切に使い分けることで、プロフェッショナルな文書作成スキルを向上させることができるでしょう。