「なおざり」と「おざなり」は、どちらも「いい加減」という意味合いを持つ言葉ですが、使われる場面やニュアンスが異なります。この違いを正確に理解することで、誤解や誤用を防ぐことができます。
この記事では、それぞれの意味や使い方を詳しく解説し、日常生活での使い分けポイントも紹介します。
「なおざり」と「おざなり」の違い一覧で比較
違いをわかりやすくまとめた一覧表をご覧ください。これだけでおおよそのニュアンスがつかめるはずです。
項目 | なおざり | おざなり |
---|---|---|
意味 | 真剣に取り組まず軽視すること | その場しのぎの形式的な対応 |
ニュアンス | 手抜き、放置 | 誠意のない、場当たり的 |
使われ方 | 「○○をなおざりにする(動詞的)」 | 「おざなりな○○(形容詞的)」 |
英語訳 | neglect(軽視する) | perfunctory(形式的な) |
「なおざり」は「軽視して物事を放置すること」を表し、「おざなり」は「その場しのぎの対応」を表すと覚えましょう。
「なおざり」とは?
「なおざり」の意味について解説し、具体例を含めた使い方について紹介します。
意味と使い方を解説
「なおざり」とは、「物事に真剣に取り組まず、軽視すること」を指します。主に動詞として「○○をなおざりにする」という形で使用されることが特徴です。
この言葉は、注意不足や怠慢のニュアンスを持ち、重要なことを軽く見ている態度を表現します。
- 辞書定義
「深く心に留めない。いい加減で真剣さがないさま。」(精選版 日本国語大辞典)
使い方の具体例
「なおざり」は以下のように使われます。
- 例文1:
学業をなおざりにすると、将来の選択肢が狭まる。
(=学業を軽視すると、良くない結果を招く) - 例文2:
健康をなおざりにしてはいけない。
(=健康を軽んじて放置するのは良くない) - 例文3:
彼は仕事をなおざりにして遊びほうけている。
(=仕事を軽視して適当に扱っている)
間違いやすい例
「なおざりな対応」は誤用です。正しくは「おざなりな対応」となります。
「なおざり」は動詞的に使われるため、形容詞的な使い方には適しません。
「おざなり」とは?
「おざなり」の意味について解説し、具体例を含めた使い方について紹介します。
意味と使い方を解説
「おざなり」とは、「その場しのぎで形式的に物事を処理すること」を意味します。主に形容詞として「おざなりな○○」という形で使われるのが一般的です。
この言葉は、誠意のない対応や場当たり的な行動を表現します。
- 辞書定義
「その場しのぎで、形式的に物事を済ませるさま。」(広辞苑)
使い方の具体例
「おざなり」は以下のように使われます。
- 例文1:
部長の説明はおざなりで、誰も内容を理解できなかった。
(=部長の説明は形式的で誠意が感じられなかった) - 例文2:
おざなりな態度では、顧客の信頼を失うだろう。
(=その場しのぎの態度では、相手からの信頼を得られない) - 例文3:
会議はおざなりな進行で、重要な問題が放置された。
(=会議が形式的で、実質的な解決が行われなかった)
間違いやすい例
「捜査をおざなりにする」は誤用です。正しくは「捜査をなおざりにする」となります。
「おざなり」は動詞として使われないため、「○○をおざなりにする」という表現は不適切です。
「なおざり」と「おざなり」を使い分けるポイント
「なおざり」と「おざなり」を使い分けるポイントを、用法から見た場合とニュアンスから見た場合で分かりやすく解説します。
1. 用法で区別する
- 「なおざり」
動詞的に使う(例: ○○をなおざりにする)。 - 「おざなり」
形容詞的に使う(例: おざなりな○○)。
2. ニュアンスで区別する
- なおざりは「軽視する態度」
本来重要なことを放置している状況を指します。 - おざなりは「その場しのぎ」
表面的で誠意のない対応を指します。
よくある誤用と正しい表現まとめ
間違いやすいケースを以下に整理しました。
誤用例 | 正しい表現 |
---|---|
捜査をおざなりにする | 捜査をなおざりにする |
なおざりな対応をする | おざなりな対応をする |
健康をおざなりにする | 健康をなおざりにする |
おざなりな返事をする | (正しい表現。問題なし) |
「なおざり」と「おざなり」の背景や語源
「なおざり」と「おざなり」の背景や語源について、それぞれ紹介します。
「なおざり」の語源
「なおざり」は古語「なほざり」に由来し、「物事を軽んじる」という意味が古くから使われていました。
徒然草にも「なほざり」という表現が登場し、「真剣でない態度」を表しています。
「おざなり」の語源
「おざなり」は、「お座敷なり」という言葉に由来し、接客などでその場をつくろうための形式的な対応を指していました。
江戸時代の座敷文化が背景にあるとされています。
【まとめ】正しい使い分けで誤解を防ごう
- なおざり
「放置・軽視」する態度を表し、動詞的に使われます。 - おざなり
「その場しのぎ」の形式的な対応を指し、形容詞的に使われます。
2つの違いを理解すれば、日常やビジネスシーンでの誤用を防ぐことができます。ぜひ、この記事を参考にして正しく使い分けてください!