「怯んだ」という漢字を見て、正しい読み方に迷ったことはありませんか?日常的にはあまり使わない漢字だからこそ、いざという時に困ってしまうものです。この記事では、「怯んだ」の読み方から意味、使い方まで詳しく解説します。
「怯んだ」の正しい読み方
「怯んだ」は 「ひるんだ」 と読みます。
「怯む」(ひるむ)という動詞の過去形が「怯んだ」です。「怯」という漢字は日常的にはあまり見かけないため、読み方に迷う方も多いでしょう。
「怯」という漢字の読み方
- 音読み:キョウ
- 訓読み:ひる(む)、おじ(ける)、おび(える)
- 「怯んだ」の読み方:ひるんだ
「怯む」の読み方は「ひるむ」のみで、他の読み方はありません。「ひるむ」を文字にする場合、ひらがなでも漢字でも問題ありませんが、「怯む」と漢字で書いた方が読みやすくなるでしょう。
漢字の成り立ち
「怯」の字は「忄(りっしんべん)」と「去」から成り立っており、「心」+「去(しりぞく)」で尻込みする気持ちを表す会意文字です。心が離れ去る様子を表現した漢字で、まさに「怯む」の意味を表しています。
「怯んだ」の意味とは
「怯んだ」は 勢いに押されて気力がくじけてしまった状態 を表します。
基本的な意味
- 恐怖や不安を感じて尻込みしたこと
- 相手の勢いに圧倒されて後ずさりしたこと
- 気力がくじけて勇気を無くしたこと
詳しい意味の解説
広辞苑によると、「怯む」には以下の意味があります:
- 麻痺する、しびれる、なえる
- 傷などを受けて、気力がくじける
- おそれてたじたじとなる、身がすくむ、おじける
現代では主に3番目の意味で使われ、相手の勢いに押された結果、こちらの出方が弱くなる場合に使用されます。
ニュアンスの違い
「怯んだ」は単なる恐怖ではなく、何かに立ち向かおうとしたものの、相手の迫力や困難さに圧倒されて後退する気持ちを表現します。その人の様子を表す言葉であり、具体的な言動をしたから「怯んだ」と表現するわけではありません。
「怯んだ」の使い方と例文
「怯んだ」は日常会話から文章まで幅広く使用される表現です。
活用形について
「怯む」の活用形:
- 怯んだ(過去形)
- 怯んで(て形)
- 怯みそう(推量)
- 怯みかけた(進行中の状態)
「怯んだ」「怯んで」の後に続くのは、その後の様子や行為です。
日常会話での使用例
- 「相手の迫力に怯んだ」
- 「困難な課題を前にして怯んだ」
- 「一瞬怯んだが、勇気を出して挑戦した」
- 「彼の鋭い視線に怯んだ」
- 「部長の恫喝に怯んでしまった」
文章での使用例
- 彼は相手の威圧的な態度に怯んだものの、最終的には自分の意見を述べることができた。
- 初めての舞台に立った彼女は、観客の多さに一瞬怯んだ。
- チャレンジャーは王者の強烈なパンチを見て怯んだ表情を見せた。
- 私はあのとき、相手の表情に怯んだばかりに、思わず後ずさっていた。
- 彼はクライアントの勢いに怯んで、何も言うことができなかった。
「怯むことなく」の使い方
「怯むことなく」とは、怯まずに・怯むことをせずに、という意味で、相手に対して堂々と立ち向かう様子を表します。
例文:
- 私は怯むことなく、部長に自分の意見を伝えた
- その子供は、怯むことなく家の外に出てしまった
- 彼は困難な状況を前にしても、怯むことなく挑戦し続けた
「怯むことなく」には、相手に立ち向かう様子だけでなく、「恐ろしさを知らない」という意味でも使用されます。
「怯んだ」と似た言葉・類義語
「怯んだ」と似た意味を持つ言葉がいくつかあります。微妙なニュアンスの違いを理解しましょう。
「尻込みする」との違い
「尻込みする」とは、気が進まず、意思が感じられない様子です。
- 怯んだ:相手の勢いに押されて気力がくじける
- 尻込みした:気が進まず消極的になる
例文:
- 彼はクレームの後処理に尻込みした
- あまりに大きな幸運に恵まれ、思わず尻込みしてしまった
「尻込みする」は「怯む」のように相手に怯えるという意味はありませんが、嫌がって気力がくじけそうになるというニュアンスは似ています。
「たじろぐ」との違い
「たじろぐ」は、「怯む」と非常に似た意味を持つ言葉です。
「たじろぐ」には2つの意味があります:
- 直面する物や人に威圧されて思わず後ずさるような気持ち(「怯む」と類似)
- 相手の力に押されてよろめく(物理的な動き)
例文:
- 彼はコンビニ強盗に遭遇し、思わずたじろいだが、勇気を出して非常ベルを鳴らした
- 私は彼に肩を突かれてたじろいで倒れた
「気圧される」との違い
「気圧される」とは、相手の勢いに圧倒されることです。
- 怯んだ:恐れて気力がくじける
- 気圧された:相手の勢いに圧倒される
例文:
- あの時は、あいつの物凄い剣幕に気圧された
- あまりに堂々たる門構えに気圧されて、それ以上入るのを躊躇してしまった
「辟易」との違い
「辟易(へきえき)」には、不快なことが重なってうんざりするという意味の他に、「相手の勢いに圧倒されて、自分のしようと思ったことができなくなる」という意味もあります。
例文:
- 私は会社から出ようとしたが、泣きながら悔しがる彼に辟易してもう少し会社に留まることにした
- クライアントの怒りはなかなか収まらず、私はトイレに行きたかったが辟易してしまった
「怯む」の類語として使う意味での「辟易」は、少し古い表現です。現代では「辟易」と言うと、うんざりするという意味に解釈されることが多いです。
「怯」を使った他の言葉
「怯」という漢字を使った他の言葉も知っておきましょう。
怯懦(きょうだ)
おくびょうで気の弱いことを表します。
卑怯(ひきょう)
やり方・心がまえがりっぱでないようすを表します。「卑怯者」という言葉でよく使われます。
どちらも、あまり良いイメージのない言葉ですが、「怯」という漢字の持つ「ビビる」というイメージが表れています。
「怯んだ」を使う際の注意点
「怯んだ」を使用する際は、以下の点に注意しましょう。
- 文脈の確認:相手を見下すような表現にならないよう配慮する
- 敬語表現:目上の人に使う場合は「お怯みになった」などの敬語を使用
- 感情の表現:一時的な感情であることを明確にする
- 相手への配慮:「怯んだ」という表現は相手の弱さを指摘する場合があるため、使用する場面を考慮する
「怯んだ」の英語表現
「怯む」を英語で表現する場合、いくつかの表現があります。
基本的な表現「flinch」
日本語の「怯む」を、英語で表す場合には**「flinch」**がよく使われます。
例文:
- He flinched at the sight of the accident.(彼は事故の現場に怯んだ)
- Don’t be afraid, don’t flinch, don’t let yourself be bound by anything.(恐れてはいけない、怯んではいけない、縛られてはいけない)
その他の表現
- be hesitant:萎縮する
- get cold feet:怖じ気づく
- cower:すくんで身を縮める
- recoil:ひるんで後ずさりする
ユニークな表現では「I have butterflies in my stomach(お腹の中に蝶がいる=怯んでいる・緊張している)」なども英語らしい表現です。
関連語・対義語
関連語
- 怯える(おびえる)
- 恐れる(おそれる)
- 畏縮する(いしゅくする)
- 臆する(おくする)
- 後込みする(あとごみする)
対義語
- 立ち向かう
- 挑戦する
- 勇敢に向かう
- 果敢に取り組む
- 怯むことなく進む
まとめ:「怯んだ」の読み方、意味、使い方をわかりやすく解説!
「怯んだ」の読み方は「ひるんだ」です。恐れや不安、相手の勢いによって気力がくじけ、後退する気持ちを表現する言葉として、日常会話から文学作品まで幅広く使用されています。
「怯」という漢字は「心」が「去る」という会意文字で、まさに気持ちが離れ去る様子を表現しています。類義語との微妙な違いを理解し、適切な場面で使用することで、より豊かな表現力を身につけることができるでしょう。
「怯む」という感情は、人間の自然な反応の一つです。完全に避けるべきものではなく、時には怯みながらも前進することが大切だということも覚えておきましょう。この記事を参考に、「怯んだ」という言葉を正しく理解し、適切に使用してください。